傍らの秋草の花語るらく

 マイヤヒ〜(挨拶)
キープザ牛、右折です。
今日はなんか小泉首相閣下がわが町に「選挙の応援演説」とやらに来ました。
その時ワタシは、会場から1km距離のない仕事場で、シビックのドライブシャフトブーツ交換をやってましたが。
 前の道でなにやらスーツの白人が携帯で話してたんですが、突然走りよってきたアラブ人風の男がナイフで切りつけたのです。
 その身のこなしから、タダモノでないことはわかりました。切りつけられた白人は懐から拳銃を取り出す途中でノド笛をかき切られて絶命。
ワタシはすぐ理解しました。ホワイトハウスの密命を受けて小泉首相警護に来たCIAのエージェントが、暗殺者(アサシン)に狩られたのです。
 邪魔者を片付けた刺客は、会場目指して走り出しました。
しかしすぐさま、二人の男が立ちはだかったのでした。
ワタシはすぐ理解しました。服装からして片方は高野山の法力僧、もう片方は宮内庁の退魔師だと。
 僧が巨大な数珠を投げ縄のように投げつけ、暗殺者をがんじがらめにしました。
しかし暗殺者は不敵に微笑むと、変身を開始したのです。
ワタシはすぐ理解しました。暗殺者は「STD(世界テロ同盟)」が誇る改造人間なのだと。
暗殺者改め怪人ゴンズイ男は、数珠に縛られたままそれに構うことなく僧に向かって突進しました。
ワタシはすぐ理解しました。それはワナだと。退魔師が張った結界に自ら飛び込み、怪人は自慢のヒゲ毒を使う前に爆死しました。
二人の男は無言のまま一度だけ目配せして、そして逆方向に走り去って行きました。
それから少し遅れて、全身が黄色タイツに包まれた男がカレーを食べながらやってきたのです。
「ワシの出番はないかのう」
ワタシはすぐ理解しました。こうしてまた人知れず、小泉首相暗殺は防がれたのだと。